日本よりちょっとだけ大きいくらいの広さの国土の中に、700以上もの少数部族が暮らすパプア。その部族ごとに独自のアート文化があると聞き、アートに興味があるワタシ(こんなマンガとか描いているケド、ホントよ!)「パプアのアート」をじっくり見てこよう! とハリキッていた♪
まずは首都ポートモレスビーの国立博物館へ。ふふふ。またこれが面白いの満載。グーンと長い顔とか、大きくて丸い頭に細ーい体が付いているのとか「こんな発想どこから出るの!?」「ピカソも吃驚!!」という迫力モノなのだ。館長さんは「パプアのアートは精霊信仰の儀式に使われているものが殆どです。ここにあるのはもう魂が抜け、姿だけになったものなんですよ」とおっしゃった。
むむむ。ココにあるものでもスゴイのに、現在使われているモノって、どうなっちゃっているんだ…!?というワケで本物を見に行くことに! 
パプアのアートにはセピック川流域の人々のアート「セピック・アート」と海に囲まれた島の人々のアート「マランガン・アート」がある。まずは「セピック・アート」を知るため、セピック川流域の村々を訪ねることに。
最初にアベラム族の住むマプリック村(←愛と冒険の食事編・その2参照♪)にやって来た私達は、着くなり村の中央に不思議な家があるのに驚いた! 三角の藁葺きの家の中央には、なんとも言えないスゴイ絵柄の絵が描かれ、中央には不思議な顔がドーン!
長老さん(「愛と冒険の〜」でおイモをくれた方)が「これは「精霊の家」さ。ここで村の大事な儀式を行うのだよ」と教えてくれた。なんと特別に中を見せて頂ける事になった。ハジの方に小さな入り口があって、日本のお茶室みたいに腰をかがめて中に入るのだ。中は以外と広く、薄暗かったけど目が慣れてくるにしたがって色々な物が置かれているのがだんだん見えてきた。
長い顔、四角い顔の仮面、鳥のような頭の木像、デフォルメされた大きな男根をもつ人物像…どれも色鮮やかに彩色されている。土や木の実で色をつける「樹皮絵画」はアベラム族の独自のアートなのだそうだ。儀式の時、これらの仮面や像に精霊を宿し、村への豊穰の実りを祈願するのだという。
農耕民族のアベラム族にとって、それが最大の願いなのだ。
次に私達はセピック川をカヌーで逆上り、イアトルム族の村へ行った。4時間以上カヌーに乗って腰ガクンガクンになりながら、ようやくイアトルム族の村に到着!
村に入って行くと正面に大きな木の建物があり、大きな顔のお面がついていたので「アッ! この村の「精霊の家」だ!」とワクワクしてながら眺めていると、私達に気付いた何人かの男の人がそこから出てきた。その人達のうち2人の初老の男性がこの村の長老(2人いる)だという。
私達は彼らに精霊の家を取材させて頂けないか頼んだ。すると「ここには女は入れない。ここは女人禁制なのだよ」と一人の長老さんが言った。ガビーン!「ここまで来たのだし、なんとか見せて頂けないでしょうか」と更にお願いをした。すると彼らは「わかった。中にいる男達と話し合ってみるから、ここで待っていなさい」と精霊の家へ戻っていった。
…待っている間ワタシは正直、困惑していた。「そこで暮らす人たちの考えが1番大切なのだから、無理を言ってはいけないのでは…?」という思いと「なんとか見せて頂いて、番組を見てくれる日本の人たちに伝えたい…」という思いの間でグルグルグルグル。5分ぐらいたっただろうか、長老さんたちがにこやかに出てきた。
「わざわざ遠い国から来たのだし、特別に入っても良いだろう」というお話! ヤッター! 嬉しくて長老さんたちと握手! ドキドキしながら中へ入って行くと、その広ーいスペースの両脇にズラッと村の男の人たちが座っていた。若い人もお年寄りもいる。
挨拶しつつ奥へ進んでいくと、アベラム族のものとはまた違う、大きな仮面や木像が並んでいた! その1つ1つをよく見ると皆激しい顔をして、猛々しく構えたポーズをしている。この村を守る為だ、長老さんは言った。そしてこの建物の出口の上の所には大きく股を開いた女の人の像が飾られていた。
ここでは男子の成人の儀式も行われていて、儀式を終えた若者が女性の股の間から出てくることによって、大人の男として再び生まれかわった事を示すのだそうだ。
そのお話を聞いてワタシは長老さんに「成人の儀式ってどんな事をするのですか?」と聞いてみた。すると彼らは近くにいた若者を呼んでシャツを脱ぐように言い、上半身を出したその若者の背中を指した。
「コレだよ」その若者の背中を見てワタシは息を飲んだ。「一人前の男」の印として、背中から腰にかけて模様が彫られていたのだ! それもタダの入れ墨ではない。ある薬をすり込むことによって膨れ上がり、まるでワニの背中のようになっているのだ!
実はイアトムル族の人々は、セピック河に生息するワニを精霊として信仰しており、自分たちはワニの生まれ変わりだと信じているのだ。だからその印として、男達は背をワニの皮の模様にする。そしてそれをつけていないと、村では一人前とは見なされないのだ。長老さんに「ワシの背の模様は年をとって、すこししぼんでいるから若者の方がわかりやすいだろう」と言っていた。
見た瞬間思わず立ちすくんだワタシだが「何故そんな痛いコトするの?!」なんて言えなかった。イアトムル族の方々にとってそれは代々受け継がれてきた大切な風習、信仰の証だからだ。
一人の長老さんが「ウチに来なさい。代々受け継がれているものを見せよう」と言って下さったので、私達は彼の家へ。高床式のお家へハシゴを伝って登り、彼のご家族の女性たちに挨拶しつつ奥へ進むと、柱の上の方に大きなお面があったので「コレかな?」と見ていると長老さんが「上じゃない。下だよ」と指した方を見ると、とってもリア…ルな。三つの、人間の頭がい骨?……。
「キャー」と叫んでワタシは長老さんの後ろにまわり「…本物ですか?」と聞くと彼は「もちろん。これは偉大だった私のご先祖の頭だ」とおっしゃった。ワタシは騒いでしまったコトが恥ずかしく、申し訳ない気持ちになった…。
「大切な神聖なものなのに騒いでスイマセンでした。どうか気を悪くなさらないでください」と長老さんに謝った。彼は微笑み「中央のものは粘土で覆って貝や石を使って生前の顔を再現してあるんだ。彼を忘れないために」と教えてくれた。
この地の人々の「アート」は見ててキレイとかキタナイとかの物では決してない。自分たちが生まれてきて、生活があって、いずれは土に帰り、その後は自分たちの子供達に伝わってゆく…。という根源的な所で絶対必要な、真剣なものなのだという事がわかった。これは「アート」というより「信仰」が形になったものだ。すごくすごくカルチャーショックだった。
その後、同じくセピック川流域のアイボム村にやってきた。ここでは今まで見てきた「荒々しい、男たちのアート」とは全く逆のアートを見ることが出来た。アイボム村の女性たちが作るのは、女神コリンマンガの顔がついた土器だ。これは家族の食事を調理したり、保存したりするためのもの。どれもあたたかく、柔らかなイメージ。そう「お母さん」というイメージだ。男性がよその敵から家を守り、女性が家の中で暖かく家族を包む。という役割がはっきりとしているのだ。ワタシは心温まるアートを見た。後編へつ☆づ☆く!